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既存の雰囲気を活かしてテイストを作り上げるのはデザイナーの仕事だと思いますが、施工屋から見ると、なかなかそれをコントロール出来るデザイナーは少ないです。逆にデザイナーや設計士から、わかる施工屋は少ないと言われるでしょう。施工屋からは「『わかってる』デザイナーは少ないよね!」となるのです。理解のできない変更に付き合わされるというイメージがあります。職人としては生活がかかっているので切実です。

過去に仕事をご一緒したデザイナーに「デザイナーと設計士、施工屋は対立するものだ」と言う方もいました。ラジカルな表現やアーティステックを求めるときに、施工屋に理解してもらう必要はない、ということかと解釈しましたが、本当のところはどうなんでしょう。なんていうことを、この時の現場でデザイナーの奥山氏にぶつけつつ。奥山氏は「こだわるところはこだわるからね!」と言って現場は進みました。紆余曲折ありましたが、おかげさまで大変素敵なレストランができたと思います。

 

写真にある壁は既存の壁に塗装をしただけのもので、テクスチャーも中途半端でがっかりしていたところに奥山氏が文字を書きたいとのこと。
持ってきたアイデアはダンテの神曲の一節。読めないけれど、意味は良いことが書かれているらしい。とにかくカッティングシートを切り抜いて、ステンシルで半信半疑にやってみましたが、結果はなかなかの良い感じになりました。
ようやく完成し、消防検査、保健所の検査など関門を越えて。厨房に火が入りました。


そしてシェフが白いコックコートを着た瞬間、全くの別人かと思われる動きで、広い厨房を一人で難なくこなしているではありませんか。我々の杞憂は飛んで行きました。ドラマのモデルになっただけあって無駄のない動き、エンターテイメントを兼ね備えた身のこなし。その一流な姿は建築現場での打ち合わせなどでお会いしただけでは我々には見抜けませんでした。厨房で光を放つタイプだったのですね。味とサービスも素晴らしく、その後レストランは繁盛店として愛されています。

この紙面を借りて、施工屋の愚痴を書かせていただきました。商業施設は、オーナー、デザイナー(建築士)、施工屋との関係性で作り上げていくものですが、まだ見えぬモノ・空間を作り上げる時には常に葛藤があります。立場が違えば、手法も哲学も違います。まだまだお互いやるべきこと、やれることは沢山ありますね。

 

イタリアンバルbambinoアクセス:東武線運河駅より徒歩3分。西口から流山街道沿いに進み右手ランチタイムは和やかに、夜は落ち着いた雰囲気の空間として。ランチタイムは、子ども連れのファミリーもベンチシートで気兼ねなく楽しめます。

ディナータイムは、寛いで料理やワインが堪能できる落ち着いた大人の空間として。それぞれのシーンに合わせて使っていただけます。

(お店のホームページより)https://bambinounga.owst.jp/
千葉県流山市東深井408-2 04-7157-3883

 

 

デザイナー:有限会社A.C.G. 奥山久 http://a-c-g.jp/
撮影:相沢伸也
株式会社木村工務店 代表取締役 木村敦
協同組合日本店装チェーン正会員 http://www.kafco.info/

 

商業施設士の仕事~イタリアンバルバンビーノ施工の現場から 後編

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